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柿の豆知識

柿の豆知識

柿柿についての豆知識をどれくらいご存知ですか?

1.柿の名前の由来
カキの名前は、実が赤くなることにより付けられたようです。江戸時代の後期の国語辞典『和訓栞(わくんしおり)』には、「柿は実の赤きより名を得たるにや、葉もまた紅葉す」と記されています。一方、漢字の方は、中国名の柿(し)がそのまま用いられました。漢方薬に使われるカキへ夕の柿蔕帝(してい)も同じです。このあたりの事情が、平安時代の日本初の分類別漢和字書である『和名類聚鈔(わみょうるいじゅしょう)に、次のように記されています。

「柿 説文云、柿 音市、和名 賀岐、赤實菓也」
文中の『説文』は、中国後漢中期の書『説文解字』(せつもんかいじ)の事です。
また、同時代の『本草和名』(918年)などの多くの古文書には、「加岐」、「賀岐」の字が見受けられます。この頃は、『延喜式』(927年)によると渋柿の熟しや干し柿を祭礼の菓子としてお供えしていたようです。

柿の学名はDiospyros kaki Thunberg(ディオスピーロスカキツンベルグ)です。
この属名のディオスピーロス(Diospyros:カキ属)は、ギリシャ語の:Diospyros(ディオスピュロス)に由来しています。
このディオスはゼウス(ジュピターの神:Jupiter)を、ピエロスは小麦、穀類、果実を指していると考えられでいます。
すなわち、神の食べ物の意味で、美味な果実を讃えたものです。
ちなみに、Kaki(カキ)は日本語の柿、ツンベルグは、カキの発見者のカール・ベール・ツンベルグ博士(Dr,CarlPeter,Thunberg:1743〜1822年)の名です。
彼は、有名なスウェーデンの植物学者カール・フォン・リンネ(Carl von Linne:1707〜1778年)の門弟で、日本に来た事があります。


2.柿の仲間
カキノキ科カキ属の植物は、約190種、柿の品種は800〜100種もあります。この柿の原産地については、日本自生説と中国揚子江沿岸原産説(奈良時代を中心に渡来した)の2説があります。
甘柿は、わが国で改良された物で、鎌倉時代以降の文献『庭訓往来(ていきんおうらい)』などにその名が登場します。


3.柿の食べ方
樹上でよく熟れた甘柿。特に、良質な物を御所柿(ごしょかき)と呼びました。御所柿以外の物を木佐和志(きさわし)と呼んだようです。
これは、小練り(こねり)と呼び熟しをそのまま食べたと考えられます。
また、熟柿(うみかき)も樹上で黄熟させてから、稲藁や麻縄で囲い、風雨や禽獣から保護し、霜の後に、紅熟をまって技から取って食べる物もありました。
渋柿を黄色に熟れる直前に収穫し、石灰をまぶしたり、蕎麦がらの灰汁に2〜3日ひたした後、干して渋抜きした物は、佐和志柿(さわしかき)、阿和世柿(あわせかき)と言われました。
また、釣るし柿(つるしかき)、胡廬柿(ころかき)、串柿(くしかき)はいずれも干し柿であり、江戸時代には、乾柿と書きました。
これが現在の干し柿の原形となっていると思われます。


4.渋柿が何故甘くなるのか
渋柿には「柿渋」が多く含まれ、この柿渋は縮合型タンニンと呼ばれる数種類のタンニンの混合物です。渋柿の状態では、水溶性であるために味覚神経を収赦し、強烈な渋みを感じさせます。
脱渋にはいろいろな方法がありますが、脱渋したものは、渋みを感じさせるタンニンがアセトアルデヒド等と結合して、水に溶けない状態になるので、味覚神経に作用しなくなるために、渋みを感じなくなります。タンニンが糖に変わるわけではありません。
市田柿のなかには果糖が約18度位あります。干し柿の表面の白い粉はα-D-グルコースとフルクトースの結晶です。


5.柿の栄養成分
柿は栄養的に優れた果実であり、ビタミンC、カテロン類、ミネラル(特にカリウム)、タンニン類、食物繊維などが豊富にあり、「柿が赤くなると医者が青くなる」と昔から言われるように健康に大変良い果物であります。

柿の栄養成分表
成分100g中の重量 甘柿(富有柿) アルコール 脱渋 干し柿
水分(g) 83.1 85.9 23.9
タンパク質(g) 0.4 0.4 3.0
脂質(g) 0.2 0.1 0.2
糖質(g) 5.5 13.0 68.9
繊維(g) 0.4 0.2 1.5
食物繊維(g) 1.6 16.2
灰分(g) 0.4 0.4 2.5
カルシウム(mg) 9 8 21
リン(mg) 14 16 70
鉄(mg) 0.2 0.2 0.7
ナトリウム(mg) 1 1 4
カリウム(mg) 170 200 820
マグネシウム(mg) 6 30
亜鉛μ(g) 46 490
銅μ(g) 32 100
カロテンμ(g) 120 320
ビタミンA効果 IU 65 80 180
ビタミンB1(mg) 0.3 44 0.02
ビタミンB2(mg) 0.02 0.03 0.02
ナイアシン(mg) 0.3 0.02 0.7
ビタミンC(mg) 7.0 0.3 3.0
(出典:飯田女子短期大学教授・農学博士平井俊次氏 著)